
おはようございます。10月20日(火)です。
デザイン事務所ページワンスタジオが提供する The PageOne Times。
昨日おこったクリエイティブ領域の出来事をピックアップしてお伝えします。
今朝未明、H3ロケット10号機が打ち上げに成功し、火星の衛星を調べる探査機「MMX」が予定の軌道に乗りました。日本の宇宙開発が着実に前進しています。一方、台風30号が大型で猛烈な勢力に発達し、22日には沖縄の南へ達する見込みです。先島諸島では明日から大しけが予想されています。
株式市場では日経平均が続落でスタート。世界的な金利上昇と半導体株安が重荷になっています。不正アクセスによる情報流出も止まらず、今日は企業・自治体のメール配信会社への不正アクセスで900万件流出の可能性が報じられています。セキュリティ会社は「中国系AIの使用を確認した」と発言しており、サイバー攻撃の手口が高度化しています。
また明治安田生命保険の調査で、0〜6歳の子どもが1人いる人のうち「2人目が欲しい」と答えた人が28.2%と過去最低に。2020年の56.9%から半分以下に減少しており、少子化の加速が数字に表れました。
「MMX成功・台風・株安・サイバー攻撃高度化・少子化加速」という火曜日です。
では本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
① TCC新人賞受賞CDインタビュー——「対話の仕方はひとつじゃない」泉田岳氏が語るCM制作の核心
CM専門誌「CM INDEX」最新号で、東日本旅客鉄道「Suica」のCMで2026年度TCCグランプリを受賞したCMディレクター・泉田岳氏のインタビューが掲載されています。三井住友銀行「Olive」の「通帳の人」シリーズ、湖池屋「スコーン」など話題作を手がけてきた泉田氏が、広告を作る際に大切にしている考え方を語っています。
主観:「対話の仕方はひとつじゃない」というタイトルが示すように、生活者との接点の作り方に唯一解はないという姿勢が伝わってきます。「Suica」「Olive」「スコーン」という全く異なるブランドで話題作を作り続けるCDの視点から、何を学べるかを深掘りしたいインタビューです。
② 太平洋セメント新CM——上白石萌音が4カ国語でセメントの魅力を語る
アドタイが「上白石萌音が4カ国語でセメントの魅力を語る——太平洋セメントの知られざる顔を伝える新CM」を掲載しました。10月16日から放映している新CMで、太平洋セメントというBtoB企業が一般消費者向けにブランドの顔を作ろうとしています。
主観:「BtoB企業が一般向けにブランド広告を作る」という設計は、採用広報と企業イメージの両面で機能します。セメントという地味な素材を上白石萌音が4カ国語で語るという「意外な取り合わせ」の設計が、記憶に残る仕掛けになっています。
③ ChatGPT広告・日本展開の最新情報——課金方式・最低予算・出稿方法が明らかに
ChatGPT広告の日本での詳細が明らかになってきました。課金方式はCPC・CPM・コンバージョン最適化の3種類で、最低日予算は2500円から。「Ads Manager」からアカウントを開設し、キャンペーンを作成・配信できます。
主観:「最低日予算2500円から」という数字が実務的に重要です。6月にこの朝刊で「介入点の倫理」を議論していたChatGPT広告が、いよいよ実務レベルの話になってきました。出稿する前に「文脈設計」を準備しているかどうかが、成否を分けます。
④ 岡山・勝山「のれん会議」——30年で500枚、のれんで町の価値を変えた地方創生
アドタイが「30年で500枚。のれんで町の価値を変えた岡山・勝山の歩み」を掲載しました。のれんを起点にした町のブランディングが30年かけて積み上げた成果として注目されています。
主観:「30年で500枚」という数字が示すのは、ブランディングが一朝一夕ではなく時間の積み重ねだという事実です。デザインの力で町そのものをメディアに変えた事例として、地域ブランディングの教科書になりえます。大阪・関西の文脈でも参照したい視点です。
① 「中国系AIがサイバー攻撃に使用確認」——クリエイティブとセキュリティの接点
NHKが「不正アクセスに中国系AIの使用確認」とセキュリティ会社の分析を報道しました。攻撃の手口がAIによって高度化・自動化しており、「異様な状況」との言葉も出ています。
主観:「AIが作る」と「AIが攻撃する」が同じ時代に並走しています。マーケティングで生活者データを扱う企業は、データの収集・活用と同時に、そのデータを守る責任を負っています。「集める設計」と「守る設計」は不可分という先週の論点が、今日も有効です。
② 「2人目が欲しい」28.2%——少子化加速が示すコミュニケーション設計の転換
明治安田生命の調査で、0〜6歳の子どもが1人いる人の「2人目が欲しい」が過去最低の28.2%に。将来の収入への不安が最大の理由です。
主観:「子育て・ファミリー向け」のコミュニケーション設計が根本から変わる数字です。「2人きょうだいの家族」を想定したビジュアルや訴求が、現実の生活者から乖離し始めています。ターゲット像の更新が急がれる市場のひとつです。
③ 花王「キュレル」グローバル展開加速——「Jビューティ」の追い風に乗る設計
マーケジンが「注目高まるJビューティは追い風なるか。国内過去最高シェアの花王『キュレル』がグローバル展開を加速」を掲載しました。
主観:「Jビューティ」という文脈が、商品の機能訴求を超えて「日本の美意識」というブランドストーリーに変換されています。ローカルブランドがグローバルで戦うとき、文化的文脈が最大の武器になることを示しています。
① CM INDEX最新号——「虎ノ門広告祭」発起人・菅野薫氏が語る「あえて広告?いや、むしろ広告!だ」
CM専門誌「CM INDEX」最新号で、虎ノ門広告祭の発起人・菅野薫氏が「毎日テーマを変え、豪華メンバーで”広告のこれから”を語り合う『クリエイターズ・ナイト』の見どころ」を語っています。
主観:「あえて広告?いや、むしろ広告!だ」というコピーの進化が面白い。「あえて」は抵抗感を正直に認める言葉で、「むしろ」は逆説を楽しむ言葉です。2年目でトーンが変わったことが、業界の自己肯定感の変化を示しています。
② ブレーン「リブランディング」特集——「地域の共助の輪を広げる新企業ビジョン」の設計
ブレーンのリブランディング特集で、地域の「共助の輪」を広げる新企業ビジョンの策定プロセスが掲載されています。クリエイターが経営者と対話しながら、潜在的な課題を掘り起こし、社内外を動かすロジックとストーリーを組み上げた事例です。
主観:「共助」という言葉を企業ビジョンの核に据えた設計が印象的です。コピーライターには、「その企業が何者であるべきか」を一緒に考える仕事がある——Cの仕事の本質がここに見えます。
「対話の仕方はひとつじゃない」——インサイトは答えではなく、問いの形をしている
今日の朝刊で最も印象深かった言葉は、TCCグランプリ受賞CDの泉田岳氏の「対話の仕方はひとつじゃない」というインタビュータイトルです。
昨日のピックアップで「当事者に受け入れられるか」という問いを立てました。今日はその問いの深層に踏み込んでみます。
「当事者に受け入れられるか」は正しい問いですが、難しいのは「当事者」が一人ではないことです。同じ商品やサービスを使う人でも、感情の状態・置かれた文脈・文化的背景が全員違います。
だからインサイトに唯一解はありません。「この人はこう感じている」という仮説を立て、広告という対話の形で問いを投げ、反応を見る——その繰り返しが、コミュニケーション設計の本質です。
宣伝会議の特集が指摘するように、AIがデータを分析し、リサーチを効率化できる時代になった今、コピーライターやCDに残る仕事は「仮説を立てること」と「対話の形を設計すること」です。それは「対話の仕方はひとつじゃない」という言葉と同じ場所にあります。
AIには「正解に近い答え」を出す力があります。でも「まだ見つかっていない問いを立てる力」は、人間の側にあります。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史