
おはようございます。10月15日(木)です。
デザイン事務所ページワンスタジオが提供する The PageOne Times。
昨日おこったクリエイティブ領域の出来事をピックアップしてお伝えします。
昨日、簗農相が辞表を提出しました。道路予算をめぐる発言が引き金となり、就任からわずか1カ月での辞任です。政権にとって痛手となる中、後任は今日明らかになる見込みです。株式市場は朝方に415円高と反発する場面もありましたが、終値はほぼ横ばいの33円安と不安定な動きとなりました。原油価格は東京市場で18年3カ月ぶりの最高値を更新し、中東情勢の緊迫化が続いています。また相次ぐ個人情報漏洩事案に関しては、NHKの世論調査で「不安を感じる」が77%に達したことが明らかになりました。止まらない情報漏洩に、生活者の不安が数字に表れています。
「農相辞任・株反発・原油高・個人情報漏洩不安77%」という慌ただしい木曜日のはじまりです。
では本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
① Honda N-BOX「想いをのせてGO」——車いす・自転車・犬まで乗せる多様性CM
HondaがN-BOXの新CMとして「スロープ SLOPE & GO!」シリーズを展開中。「車いすでGO」「自転車も、ワンちゃんもGO」など全20バージョンになりました。
主観:「誰でも乗せられる」という機能訴求を「誰の想いも乗せられる」という感情訴求に変換しています。多様性をテーマにしながら説教臭くなく、「GO」という動詞一つで明るさを保つコピー設計が巧みです。
② ドン・キホーテ新業態「ロビン・フッド」——「スーパーみたいで、スーパーじゃない」
ドン・キホーテが新業態「ロビン・フッド」のCMを展開中。「スーパーみたいで、スーパーじゃない お店」「タイパ最強のスーパーです」というコピーで新業態を定義しています。
主観:「スーパーみたいで、スーパーじゃない」という逆説のコピーが秀逸です。既存カテゴリーに寄り添いながら差別化する——新業態を言語化する難しさを、「比較の文法」でクリアしています。業態名「ロビン・フッド」も「庶民の味方」という文脈を一言で背負わせています。
③ キャンメイク「恋リア風WebCM」全5話——コスメ×ストーリーテリングの融合
キャンメイクが全5話のストーリーで「かわいい」の秘訣を描く恋愛リアリティ風WebCMを展開しています。
主観:コスメ広告が「恋リア(恋愛リアリティショー)」というコンテンツフォーマットを借りた設計です。「広告をコンテンツとして見せる」アプローチは、ターゲットである若年女性の視聴習慣と一致しています。5話構成という「続きが気になる」設計も巧みです。
④ ザボディショップ「ボディケア習慣を乳がん啓発へ」——10月ピンクリボンキャンペーン
ザボディショップが10月の乳がん啓発月間にあわせ、ボディケア習慣を乳がん自己検診と結びつけるキャンペーンを展開しています。
主観:「ボディケアをする」という行動を「自分の体を知る」という意識変革に接続する設計です。ブランドの本業(ボディケア製品)と社会課題(乳がん啓発)を無理なく繋げた、パーパスブランディングの好例です。
⑤ 「BeReal.」×第一三共ヘルスケア——圧倒的な記憶定着で認知+7pt超
第一三共ヘルスケアが「BeReal.」を活用した若年層マーケティングで、圧倒的な記憶定着を実現し認知を7pt超伸ばした事例が注目されています。
主観:「BeReal.」はリアルタイムの素の瞬間を共有するSNSです。加工なし・演出なしというプラットフォームの性質が、医薬品・ヘルスケアブランドの「正直さ」という価値と親和性が高いと判断したのでしょう。媒体の文化とブランドの文脈が一致したときに広告は強くなります。
①「広告の競争は『見られる』から『語られる』へ」——AI検索時代のナラティブマーケティング
マーケジンが「広告の競争は『見られる』から『語られる』へ。AI検索時代に求められる『ナラティブマーケティング』とは」を公開しました。
主観:「見られる広告」から「語られる広告」への転換——これはこの朝刊で何度も触れてきたテーマです。AIが情報を選ぶ時代に、ブランドが「語られる文脈」を持っているかどうかで競争優位性が左右されます。コピーライターが書くべき言葉は、「広告の言葉」より「人が話したくなる言葉」へと変わっています。
② 「ChatGPT・Google・Amazonが広告の形と運用者を変えた」——26年Q3の4大変化
マーケジンが「ChatGPT・Google・Amazonが広告の形と運用者を変えた。26年Q3の4大変化と打ち手は」を本日公開しました。
主観:Q3の3カ月で広告のプラットフォームが大きく変わったという報告です。「誰が運用するか」まで変わってきたという指摘が重要で、AIによる自動運用が進むほど、「何を言うか」の設計が人間の仕事として残ります。
③ 「見つかる」を「選ばれる」に変えるには——ブランドAIOの戦略設計
マーケジンが「『見つかる』を『選ばれる』に変えるには?ブランドAIOの戦略設計、購買時AI活用パターン5類型を公開」を本日公開しました。
主観:「見つかる(SEO)」と「選ばれる(ブランド力)」の間にAIOという新しい戦略領域が生まれています。昨日の「AIに選ばれるブランド」というピックアップのテーマと直結します。この議論は来週以降も深掘りしていきたいところです。
④ 「ヤシノミ洗剤」——「看板商品に傷が付いた状態」からの復活戦略
マーケジンがヤシノミ洗剤の復活戦略を特集しています。「看板商品に傷が付いた状態」からブランドをどう立て直したかのプロセスが公開されています。
主観:「ブランドの傷」をどう回復するか——昨日のカルテル疑惑を抱えるビール各社にも重なるテーマです。傷ついたブランドの回復には、言葉より先に行動が必要で、その行動を言語化するのがコピーライターの仕事になります。
① 高島屋「創業195周年記念展・乱の時代」——百貨店が自らの歴史をコンテンツにする
高島屋史料館が創業195周年記念展「タカシマヤ クロニクル 百・華・繚・乱」第Ⅳ期「乱の時代」を開催しています。
主観:百貨店が自らの195年の歴史を「乱の時代」と名付けてコンテンツ化する。社史をブランドストーリーに変換する設計として学べます。「乱」という漢字一字が時代の激しさを表しながら、200周年への期待感をも滲ませています。
② 「rom&nd10周年ポップアップ」——来場者の誕生日をブランドの誕生日に重ねる
韓国コスメブランドrom&ndが10周年記念ポップアップを開催。来場者自身の誕生日をブランドの誕生日と重ねる仕掛けを展開しています。
主観:「ブランドの10周年」を「あなたの誕生日」に変換する体験設計です。ブランドの記念日を生活者の個人的な記憶と結びつけることで、感情的な接着剤を作っています。「自分ごと化」の設計として参考になります。
③ 「小枝」×ベーカリーコラボ——体積58本分の驚きを生む商品開発
「小枝」約58本分の体積を持つベーカリーコラボメニューが話題になっています。ロングセラー商品に驚きを生む体験設計として注目されています。
主観:「58本分」という具体的な数字がそのままコピーになっています。抽象的な「大きい」より「小枝58本分」の方が圧倒的に伝わる。数字の具体性がビジュアルと連動したとき、コピーは最も強くなります。
④ DESIGNART TOKYO 2026——第10回記念、旧首都高「KK線」が会場に
Casa BRUTUSが「2026年秋、必見のデザインイベント&建築祭5選」として「DESIGNART TOKYO 2026」を紹介しています。第10回を迎えるDESIGNART TOKYOは10月30日〜11月8日に開催。今年のメイン会場は2025年に閉鎖された東京高速道路「KK線」です。
主観:廃止されたインフラをデザインの舞台に変える発想が面白いです。「使われなくなった場所に意味を与える」という行為は、リブランディングの本質と重なります。空間がメッセージになる設計の好例として、大阪万博後の跡地活用の文脈でも考えさせられます。
「語られる言葉」を作ること——コピーライターの本質的な仕事
今日のマーケジンに「広告の競争は『見られる』から『語られる』へ」という記事が出ました。
「見られる広告」とは、目の前に現れた広告を受動的に見ること、一方、「語られる広告」とは、誰かが誰かに話したくなる広告のことだそうです。さて、この違いはどこから生まれるか。
「見られる広告」は注目を集めます。「語られる広告」は感情を動かします。感情が動いた人は、その感情を誰かと共有したくなります。それが「語られる」という現象です。
コピーライターが書くコピーとは「人を動かす言葉」でして、それ以外はすべてコピーっぽいなにかです。語られる言葉は、生活者の口から別の生活者へと伝えられる——その連鎖を設計することが、AIには今のところできない人間の仕事ではないでしょうか。
「小枝58本分」という言葉を誰かに話したくなる気持ち。「スーパーみたいで、スーパーじゃない」という言い回しを誰かに教えたくなる衝動。「返信を打っては、消す」という情景を誰かと共有したくなる感覚。
今日の朝刊に並んだ言葉の中に、「語られる言葉」の条件がいくつも見えました。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史