
10月9日(金)おはようございます。デザイン事務所、ページワンスタジオです。夏が終わり、秋の空気になってきた今日この頃。いかがおすごしでしょうか。では本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
毎年この時期になるとノーベル賞の発表が話題になります。昨日は文学賞の受賞者発表がありました。今年の文学賞は、カナダの詩人・エッセイストのアン・カーソン氏に。化学賞では東京理科大学名誉教授の硤合憲三氏らが受賞しました。平和賞では、いずれも日本人がトップをつとめる国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)、子ども支援団体などが候補に挙がっており、受賞者発表に世界中の注目が集まっています。
国内では阪神タイガースが球団初の連覇を達成し、大阪・関西が沸いています。経済面では8月の家計調査で実質消費支出が9カ月連続減少という厳しい数字が出た一方、食料品の消費税1%引き下げ法案が閣議決定されるなど、生活者の財布を巡る動きが続きます。
ビール大手4社のカルテル疑惑も公正取引委員会が強制調査に乗り出した件や、先月来から相次いで報道されているサイバー攻撃による企業組織からの情報流出事件も気になるところです。もちろん、最も責められるべきは攻撃者側であることは言うまでもありませんが、企業・組織として備えを怠らないことも同様に重要です。ソフトバンク子会社やブックオフグループなど、大手企業を狙った攻撃が続いており、デジタル資産の管理とセキュリティへの意識が改めて問われています。
そんな中、今日マーケティングWeek秋展が最終日を迎えます。マーケティング活動はさまざまな個人情報や購買データの収集を前提としていますが、その情報こそがサイバー攻撃の格好の標的になっているという皮肉は、見逃せません。情報を集める側にいる者として、その管理責任の重さを各社は改めて噛み締めています。「ノーベル賞・阪神連覇・消費税・カルテル疑惑・サイバー攻撃」という多彩な気流が重なる金曜日、スタートです。
① ファミマ「レディー・ガガCM」——日本の人材不足を世界に知らしめた一本
ファミリーマートがレディー・ガガを起用したCMが世界的な話題になりました。日本の人材不足と労働力確保の難しさが、グローバルなコミュニケーションを通じて浮き彫りになっています。
主観:「人材不足」という社会課題を、世界トップクラスのアーティスト起用というサプライズで語る逆転の発想です。「なぜガガ?」という問いそのものがPRになった設計といえます。課題をそのままコミュニケーションに変換できるCDが、これからの時代に必要とされています。
② SixTONES×カップヌードル——ファンの購買意欲を直撃した新CM
日清食品がSixTONESを起用したカップヌードルの新CMが話題になっています。「スト担めちゃくちゃ食べるぞー!」というファンの反応がSNSで広がっています。
主観:CMが「引き金」になり、ファンコミュニティが自発的に購買を宣言・拡散する——これはUGCの最も理想的な形です。起用タレントの選定が購買行動の連鎖を生みます。「誰を選ぶか」がそのままマーケティング設計になっています。
③ ブレーン11月号「リブランディング特集」——「信頼による差別化」の時代へ
広告クリエイティブ専門誌「ブレーン」11月号がリブランディングを特集しています。「ブランドは『信頼』による差別化が求められる時代へ」をテーマに、ドミノ・ピザ・神戸屋・Peach Aviationなどの事例を掲載しています。
主観:サイバー攻撃による情報漏洩が相次ぐ今、「信頼による差別化」というテーマは広告の文脈を超えて企業経営全体の問いになっています。「何を変えて、何を変えないか」——その判断がブランドの核心を問います。
④ OpenAI「ChatGPT」——新たなビジュアル広告フォーマットをテスト中
OpenAIがChatGPTに新たなビジュアル広告フォーマットを導入し、米国で一部広告主にテストを開始しました。
主観:6月にChatGPT広告の話をしていましたが、いよいよビジュアルフォーマットの段階に進みました。「テキストの文脈」から「ビジュアルとテキストの複合文脈」へ。介入点の設計がさらに複雑になる一方、収集した行動データが攻撃対象になるリスクも同時に高まっています。
①サイバー攻撃が直撃する「マーケティングデータ」——9月以降132件の漏洩公表
2026年1月から10月8日までに不正アクセスによる情報漏洩を公表した企業・団体が132件に達しました。9月末からの10日間だけで国内有名企業10社超が被害を公表しています。タイムズカー約660万件・焼肉きんぐ約1079万件・楽天ドライブなど、日常的なサービスに集中しています。
主観:漏洩しているのは会員情報・購買履歴・行動データ——まさにマーケティングが最も必要とするデータです。「データを集める」と「データを守る」は表裏一体の責任だという認識が、マーケター・CDにも求められる時代になりました。クライアントへの提案でも「集める設計」と同時に「守る設計」を語れるかが問われています。
② AIがサイバー攻撃に悪用——「異様な状況」とセキュリティ会社が警告
NHKが「個人情報流出なぜ相次ぐ?”異様な状況”AI悪用可能性の指摘も」と報道しました。セキュリティ会社は今年7月以降、被害が急増しており、サイバー攻撃にAIが悪用されている可能性を指摘しています。
主観:生成AIは「作る道具」として語られることが多いですが、「攻撃する道具」としても使われています。マーケティングにAIを活用する議論と、AIによる攻撃リスクの議論は、同じテーブルで語られなければならない時代に入りました。
③ 「広告不信の時代にスポーツマーケが台頭」——熱量を売上に変える4つの手段
日経クロストレンドが「広告不信の時代にスポーツマーケが台頭——熱量を売上に変える4つの手段」を特集しています。W杯・阪神連覇という熱狂の夏を経て、スポーツを起点にしたマーケティングが改めて評価されています。
主観:「広告不信」という言葉がついに専門誌の特集タイトルになりました。情報漏洩が相次ぐ今、生活者のブランドへの信頼はさらに揺らいでいます。「データより熱量」という方向性は、信頼回復の文脈でも読めます。
④ マーケティングWeek秋展・最終日——「リブランディング」と「AI活用」が今秋の二大テーマ
マーケティングWeek秋展(第28回)が本日最終日を迎えました。10月7〜9日の3日間、東京ビッグサイトで開催されています。11月18〜20日には大阪・インテックス大阪での初開催も控えています。
主観:マーケティングデータの漏洩が相次ぐ中で開催されたマーケティングの祭典という皮肉は、今日の会場でどう語られたでしょうか。5週間後の大阪展では「データ活用とセキュリティ」という問いが正面から議論されることを期待したいところです。
① 「バイブデザインの現在地」——AIがUIまで生成する時代のデザイナーの役割
日経デザイン10月号が「バイブデザインの現在地」を特集しています。自然言語で入力するだけでUIやアプリまで生成するAIツールがデザイン業界を震撼させている現状を報告しています。
主観:クリエイティブの仕事が「作ること」から「選ぶこと・判断すること」に移行しています。AIが生成した無数の選択肢の中から「これだ」と言える感性と言語化力こそが、これからのクリエイティブに求められる核心になりつつあるのでしょう。ツールが進化するほど、判断する人間の質が問われます。
② 「広告は劇場からテーマパークへ」——細田高広氏が語るブランドの20年
MarkeZineが細田高広氏のインタビュー「広告は劇場からテーマパークへ。生活者とブランドの20年とこれからの『問い』」を掲載しました。
主観:劇場は客席と舞台が分かれています。テーマパークは全員が参加者です。ただし、参加者のデータが漏洩するテーマパークに人は集まりません。「体験の設計」と「信頼の設計」は今や不可分です。
信頼は、広告だけでは作れない
今日の朝刊を振り返ると、図らずも「ブランドへの信頼を揺るがす出来事」が重なった一日でした。
広告は幻想をつくりだします。つまりはブランドイメージです。これが生活者からの信頼感の一部を担ってきたことは確かでしょう。一方で、信頼感はあくまでも感覚であり印象でもあります。よって行動ひとつで、いとも容易く崩れ去ります。今日の朝刊には、カルテル疑惑、情報漏洩など、信頼を揺るがす出来事が重なりました。
広告は信頼の入口にはなれます。でも信頼そのものは、行動が作ります。
マツダが80歳の女性のRX-7を廃車にしなかった事実。ファミマが人材不足という課題を正直に語った姿勢。どちらも言葉より先に「行動」がありました。AI時代に入り、言葉もビジュアルも大量に作れるようになりました。だからこそ「何を言うか」より「何をするか」が、ブランドの信頼を決める時代になっています。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史