
6月25日(木)おはようございます。ページワンスタジオです。
本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
今朝7時半ごろ岩手県沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生し、青森県で最大震度6強を観測しました。この地震による津波の心配はないとのこと。被災された皆様、どうぞご安全に。一方、国際面でも、昨日ベネズエラのモロン近郊を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、その数分後に今度はマグニチュード7.5のさらに規模の大きな地震が最初の自身と近い場所で発生した。震源から200km離れた首都のカラカスでは建物が倒壊するなどの被害が発生していおり、当局が救助活動を展開している。というわけで、週末を前に世界中で災害による緊張が走った朝となった。
経済面では、米メモリー大手のマイクロンが純利益15倍の決算を発表し株価が16%急騰。AI関連需要の強さが改めて可視化された。半導体関連株は国内の市場でも軒並み上昇しており、国の重点投資先としても半導体に68兆円規模の巨額投資が行われる方針である。
そして明日はW杯グループリーグ最終戦、日本対欧州プレーオフ勝者——引き分け以上で決勝トーナメント進出が確定する。「地震・AI株高・W杯決戦前夜」という張り詰めた木曜日。生活者の感情が「恐怖」「不安」と「期待」の間を揺れる今日、コミュニケーションのトーンはいつも以上に繊細な設計が求められる。
では、世の中のことをざっとおさらいしたところで、クリエイティブ業界ではどういう動きがあったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
① サントリー「金麦」——パッケージの最重要KPIは「純粋想起」
日経クロストレンドが「サントリー金麦の常識外れのパッケージづくり」を特集。最重要KPIとして「純粋想起」を設定している点が注目されている。
主観:「売れたか」より「思い出されたか」をKPIにする発想の転換。パッケージデザインの評価軸を「棚での目立ち」から「頭の中での存在感」に変えることで、何を設計すべきかが根本から変わる。デザイン制作会社として提案に使える視点だ。
② AIで生成したコピーが「宣伝会議賞」最終候補に——衝撃のプロセス公開
日経クロストレンドがAIで生成したコピーが宣伝会議賞の最終候補になったプロセスを公開。業界に衝撃を与えている。
主観:「AIが開発したコピーが賞を取るかもしれない」という事実もさることながら、「どんなプロセスで最終候補まで残ったのか」の方を注視したい。AIが生成し、人間が選び、人間が出品し、人間の審査員が評価した——その連鎖のどこに「意味」が宿ったかを問うことが、AI時代のコピーライターの仕事の定義に繋がるのかもしれない。
① 「ハーネスを握る者がAI時代を制する」——米国最前線レポート
「ハーネスを握る者がAI時代を制する」として米国最前線レポートが公開された。一瞬「ん?」となるタイトルだが、AIをどう制御・活用するかが競争優位の源泉になるという議論が活発化していることを示唆している。
主観:「ハーネス」という言葉が秀逸だ。馬具のハーネスは馬の力を人間が使える方向に導く道具。AIも同じで、力があるだけでは暴走する。どう制御して、どの方向に導くかを設計できる人間が強い。そのためにはAIとの付き合い方、立ち位置を自分なりに、あるいは組織として定義・把握しておく必要があると考える。
② 「ブラック霞が関」改善——働きがいある57%に上昇
「ブラック霞が関」として知られてきた中央省庁の職場環境に改善の兆しが見え、「働きがいある」と答えた職員が57%に上昇したと報告された。
主観:近年では「ステークホルダー」という用語も上場企業だけでなく中小零細企業にまで浸透してきている印象だ。そのうちの「従業員」との対話、つまりインターナルコミュニケーションの改善が「働きがい」の数字に現れるとのこと。組織の内側の言葉と文化・文脈が変わると、その構成員の意識がかわり、結果として外側への信頼醸成・維持にも寄与する。インターナルブランディングが採用広報や外部とのコミュニケーション活動と表裏一体であることを示す事例といえよう。
③ W杯決勝T進出の条件——明日の日本戦が列島を動かす
森保ジャパンの決勝トーナメント進出条件として、グループF最終戦が6月26日朝8時キックオフと確定。引き分け以上で進出が確定する状況だ。
主観:明日の朝8時は、ブランドのSNS運用にとって「感情の山の頂点」になるかもしれない。試合終了直後の数分間で何を発信するか——この一週間で最も準備が必要な瞬間が明朝くる。事前準備は怠らずに。
④トヨタ初の女性工場長「自分で考えるように仕向けてくれた上司」
トヨタ自動車初の女性工場長を務める鎌田祐子氏が「自分で考えるように仕向けてくれた上司」について語るインタビューがNIKKEI BizGateに掲載されている。
主観:「教える」より「考えさせる」という育成哲学。これはコピーライターやデザイナーといったクリエイティブ人材の育成にも直結する考え方であろう。答えを教えるより「なぜそう思う?」と問い続けることが、独立して考えられるクリエイターを育てる。
① 「選択の負荷を下げる」——AI時代の新たな消費スタイルが広がる
「選択の負荷を下げてストレスから解放されたい」というAI時代の新たな消費スタイルが広がっている。AIが選んでくれることへの需要が高まっている。
主観:商品の選択肢が多すぎると消費者は迷ったあげく結局買わないという、わりとよく聞く話がある。わからなくなるのと同時に考えるのがめんどくさくなるのだろうか。私たちはみな、できれば楽したい。「選ぶ自由」より「選ばなくていい楽さ」を求める生活者が増えている。井村屋の「どれを食べても大正解」のコピーと同じ心理なのかもしれない。「迷わせない」「背中を押す」などメンタルパフォーマンス、略して「メンパ」の高いクリエイティブ設計が、これからの販促の核になる。
② 動画AI自動生成——サイバーエージェントが26年中の完全実装を目指す
サイバーエージェントが動画のAI完全自動生成を2026年中に実装することを目指しており、今後のネット広告の主戦場になると予測されている。
主観:動画が自動生成される時代が今年中に来る。「何を作るか」の設計はますます人間の領域になり、「どう作るか」の工程はAIに移っていく。CDの仕事が「コンセプト設計」と「品質判断」に純化される時代の到来だ。
「AIコピーが宣伝会議賞の最終候補に」——これは脅威か、問いか
今日のピックアップは、AIで生成したコピーが宣伝会議賞の最終候補になったというニュースだ。
これを脅威として読む人がいる。当然だ。「コピーライターの仕事がなくなる」という文脈で語られるのだ。まあそれもありえるだろう。誰の心も動かさないコピーっぽいフレーズを量産する仕事はそのうち淘汰されることになるだろう。一方で別の視点からは、もっと面白いことが見えてくる。
AIが最終候補まで行ったということは、少なくとも「審査員がこれはいいコピーだと判断した」ということだ。では審査員は何を基準に「良い」と考えたのか。コピーの意外性か、論理の明快さか、時代性か、生活者への刺さり方か。はたまたそれがAI作であると事前に知らされていたからなのか(公平性の観点から、実際は、そうではないと思うが)。
もしそのどれかをAIが達成できたなら、次の問いはこうなる——AIが達成できないものは何か。
それは「映画を観て泣く」ことだし「想像妊娠すること」だし、あるいは「行間を読む」ことかもしれない。いずれも人間にしかできないことで、「コミュニケーション上の介入点での生活者の状態を想定する」こと。そして「その人の文化と記憶に届くコピーを選ぶこと」になるだろう。そういうスキルセットをもったコピーライターがでてきたら、それはそれで面白いじゃないか。
今週話してきたことと全部繋がっている。AIが賞を取れる時代だからこそ、人間のコピーライターが担うべき領域がより鮮明になる。これは終わりの話ではなく、まったく別の始まりの話だといえる。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史