
6月19日(金)おはようございます。ページワンスタジオです。
本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
米・イラン停戦覚書が署名され、ホルムズ海峡の通航が正常化に向かう中、今週は「利上げ・中東和解・W杯」という三つの大きな転換が一週間に凝縮された稀有な週になりました。そして今夜からやっと週末——日本代表の次戦チュニジア戦は来週21日(日)ですが、W杯の熱気はすでに列島を包んでいます。電車内の広告などでもW杯関連のものを目にするタイミングが増えてきました。盛り上がってきましたね。
ただ一方でスーパーでは白黒のかっぱえびせんが並ぶようになり、わさびーふは、製造機器に使うオイルが入手できないとして一時生産を停止したと報道がありました。中東での戦闘終結に合意はなされましたが、その時点ですべての影響が消滅するわけではありません。ここから少しずつ回復していくにしても相当時間はかかるでしょう。今回の件は、遠い海外の非常事態がわたしたちの日常に直結していると改めて可視化されました。「世界は繋がり、動いている」という実感が、生活者の感情の底に流れだしたのかもしれません。そういう週の最終日です。
では、世の中のことをざっとおさらいしたところで、クリエイティブ業界ではどういう動きがあったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
① 日本キャラクター大賞2026——昨日発表、1位は誰の手に?
キャラクターおよびライセンスビジネス業界のアワード「日本キャラクター大賞2026」の表彰式が6月17日、東京ビッグサイトで開催され、「ちいかわ」がグランプリを獲得し、22年、24年、25年に続く史上初の三連覇。殿堂入りを果たしました。
主観:キャラクターは広告資産の中でも最も長寿命なもののひとつです。その視点でみますとアワードで「どのキャラクターが選ばれたか」より「なぜそのキャラクターが選ばれたか」を読む方が、IP設計の学びになると思います。グランプリの「ちいかわ」のほか、キャラクター・ライセンス賞では「ちいかわ」につづき「たまごっち」「モンチッチ」と一定の世代の方には懐かしい名前も見受けられます。愛され続けるキャラクターには必ず「変わらない核」と「時代に合わせた更新」があります。
② PostPet「モモ」——30年間愛され続けるブランドの体温
画面を越えた「モフモフの温もり」が宿すブランドの体温として、PostPetのキャラクター「モモ」が30年間愛され続ける理由が注目されています。スマートフォンの画面を越えて物理的な接点に回帰するブランドの動きと合わせて再評価されているようですね。
主観:「モフモフの温もり」という身体感覚の言葉でデジタルブランドを語る逆説的なところが興味深く、画面の中にいるのに「触れられる感覚」を持つキャラクターはとても強い。デジタル全盛の時代に「物理的な体温」を持つブランド設計が再評価されていました。
③ AIアイドル「SHINE」デビュー——AIクリエイティブ事業の最前線」
美容・健康・ライフスタイルを軸に多角的なサービスを展開するミュゼ・メディアHDが6月10日、AIクリエイティブ事業を展開するKazeraと共同でAIアイドル「SHINE」をミュゼプラチナムの新イメージキャラクターとして起用した。
主観:いよいよ実在しないキャラクターがブランドの顔になる時代が来ました。実在しないことで、スキャンダルリスクをコントロールできるメリットがある反面、時間的な成熟をいかに取り扱うか。AIクリエイティブ領域での新たな挑戦に期待大です。
① JFA「SAMURAI BLUE祭」——”熱心なファンの外側”への応援拡大戦略
サッカーW杯が開催されている中、JFAが渋谷・MIYASHITA PARKで「SAMURAI BLUE祭」を6月28日まで開催中です。縁日風のブースや森保監督等身大フィギュアのフォトスポット、キッチンカーなどで応援機運を醸成。「熱心なファンの外側」への応援拡大を狙っているとのことです。
主観:「熱心なファンの外側」というターゲット設定が鋭いですね。コアファン向けの施策は盛り上がりを醸成できています。そこで本PRで機能させるべきは「サッカーにそこまで興味がない人」をいかに巻き込むかの体験設計にあります。縁日・フォトスポット・キッチンカーという非スポーツ的な手段でW杯を「地元のお祭り」に再定義し、より親やすさを醸成しているのかもしれません。
② パーソルテンプスタッフ「ここチル」Podcast——若年層接点づくりの新軸
パーソルテンプスタッフが4月に始めたPodcast番組「テンプスタッフpresents ここチル。」が若年層との接点づくりで成果を見せている。
主観:人材サービス会社がPodcastで若年層と接点を作る。「求人広告を出す」ではなく「聴いてもらえるコンテンツを作る」という発想の転換です。採用コミュニケーションにおける「引力の設計」の好例になりますでしょうか。
③UGC戦略「PGC×UGC」——生活者が拡散したくなるコンテンツ設計
生活者が触れる情報量が増え続ける中、広告や公式コンテンツだけでは購買行動につながらない場面が増えているとのこと。売上につながるUGCを生み出すためのPGC(プロフェッショナル生成コンテンツ)×UGC(ユーザー生成コンテンツ)の戦略設計が注目されています。
主観:「作る」と「広がる」を最初から設計する発想です。「The PageOne Times」が社員・取引先・読者に読まれて広がる構造も、ある意味でこの話と同じです。誰かが「これ読んで」と送りたくなるコンテンツかどうかが問われているのでしょう。はたしてこのコンテンツはそうなっていますでしょうか。
「AIアイドルと「モフモフの温もり」——体温のあるブランドだけが生き残るのか」
今週最も対比として面白かったのが、AIアイドル「SHINE」のデビューとPostPet「モモ」の再評価です。一方は最先端技術で生まれたデジタルのキャラクター。もう一方は30年間「モフモフの温もり」という身体感覚で愛され続けてきたキャラクターです。
「画面を越えた温もり」という言葉が示すように、デジタルの時代に人が求めているのは逆説的に「物理的な体温」であるかもしれません。
AIキャラクターはスキャンダルがなく、老いず、コミュニケーションを管理しやすい一方で、「愛される」ためには、失敗や成長や記憶の蓄積が必要。それはAIには今のところ持てないものですが、ここに人間性をいかに重ね合わせるかで、今後の発展が期待できます。
さて今週の学びを一言でまとめるなら——「効率で作れるものと、時間でしか作れないものがある」。ブランドの体温が後者であるのは、AIの時代以前までなのかもしれませんね。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史