
6月18日(木)おはようございます。ページワンスタジオです。本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
本日は国際面から。トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領が、G7サミット会場で、米・イラン停戦の覚書に署名したとのこと。これでホルムズ海峡の通航が60日間無料となり、原油輸送が正常化へ向かっていくのでしょう。中東緊張緩和で原油価格が下落し、物価高・エネルギーコスト上昇という今年前半の不安材料が一気に和らいでいくのかもしれません。昨日の日銀利上げ決定と合わせ、「利上げ・中東和解・W杯」という三つの大きなイベントが一週間に重なっています。「不安から期待へ」という空気の変わり目を生活者がどう受け取るか——コミュニケーション設計において、トーンの切り替えに挑む週後半になりそうですね。
では、世の中のことをざっとおさらいしたところで、クリエイティブ業界ではどういう動きがあったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
① 宣伝会議サミット2026「BRAND × AMPLIFY」——昨日開催、業界が注目したテーマ
6月17日、宣伝会議が大型カンファレンス「宣伝会議サミット2026」を浜松町で開催されました。今年のテーマは「BRAND × AMPLIFY」。ブランド × 増幅。「ブランドは伝える時代から、社会の中で”増幅”されながら価値を形成していくものへと変化している」という問題意識のもと、AIによる生活者の検索行動の変化、SNS拡散・UGC・リアル体験など複雑化するブランド体験について議論されました。
メモ:これまでの広告は「送り手が届ける」モデルでしたが、SNSの浸透でブランド価値を拡げる能力を生活者は確保し、そしてこれからは「生活者が増幅する」モデルが主軸になる。SNS、生成AIというそれぞれのツールのもつ機能の獲得により、コミュニケーションの重心はブランドから生活者へ移動し、さらに生活者は強力なコミュニケーターへとパワーアップする。そんな時代にコピーライターが書く言葉は「届ける言葉」だけでなく「広がる言葉」を意識しなければならないでしょう。
② G-SHOCK「コンテキスト×ファンダム」——YouTubeでEC売上3倍の設計
カシオ計算機のG-SHOCKがYouTubeで展開した「コンテキスト×ファンダム」戦略でEC売上を3倍に伸ばした事例が、消費者の態度変容を生むYouTube活用術として注目を集めています。
メモ:「コンテキスト×ファンダム」という二軸の設計が興味深い。単なる商品説明動画に終始せず、G-SHOCKブランドが醸し出す「タフネス・冒険・男気」というコンテキスト(文脈)の中でブランドを語り、熱量あるファンが自発的に広げる構造を作った事例です。先に話題にした「増幅されるブランド(BRAND × AMPLIFY)」の好例といえるのでピックアップ。
③ テレビCM好感度調査——「出稿企業数は増加、波及力は依然大きい」
やはりテレビの力はあなどれません。CM総合研究所が「広告媒体の主軸がインターネットに移った中でも、テレビCMは依然として波及力が大きく話題づくりに威力を発揮する」と分析。出稿企業数は増加傾向にあると報告されました。
メモ:「テレビCMは終わった」という言説が出始めてから久しいですが、それでも出稿企業数が増加しているという事実は重要。「終わった媒体」ではなく「使われ方が変わった媒体」として役割を再定義するタイミングになりましょう。
① 「BRAND × AMPLIFY」——ブランドが「増幅」される条件とは何か
本日の朝刊の最初でも取り上げました宣伝会議サミットで議論された「増幅されるブランド」の条件とは何か。SNS拡散・UGC・リアル体験・アプリでの継続接点など多様な接点の設計が挙げられました。AIの普及で生活者の検索行動が変化し、ブランド体験が複雑化していることが背景にあると考えられます。
メモ:「増幅される」ためには、増幅したくなる「核」が必要ですし、当前に最初はそれを誰かに伝えなければなりません。人が誰かに話したくなる言葉・体験・感情——「What to say 何を言うか」。増幅の技術もいいのですが、What to sayの部分が重要であることは、いかに時代が変遷しようとも、変わることはありません。
② リテールメディアは「第3のCRM」——データと広告の三位一体が始まる
2026年は日本が本格的に「データ・販促・広告の三位一体構造」へと踏み出す統合元年といわれています。リテールメディア*は広告ではなく企業の「第3のCRM」になるという予測が業界識者から出ている。
メモ:「広告がCRMになる」という発想の実現。一回届けて終わりではなく、継続的な関係を作る道具として広告を設計する——その思想がクリエイティブにも求められる時代になっている。_
*リテールメディア:小売業(スーパー、コンビニ、ECサイトなど)が自社保有の購買データや顧客情報(ファーストパーティデータ)を活用し、アプリやECサイト、店頭のデジタルサイネージ等を通じて配信する広告の仕組み。
③「AI時代のネーミング・コピーライティング」——日経デザインが特集
日経デザイン5月号の巻頭特集は「AI時代のネーミング・コピーライティング」でした。「AIで生成したコピーが宣伝会議賞の最終候補に」という衝撃的な事例も紹介されています。音楽アルバム名命名の話や完売続出の明治「生のとき」の命名秘話なども収録。AIがクリエイティブ分野に次々と浸透している様子を伺い知ることができる一冊。
メモ:「AIが生成したコピーが賞の最終候補に」という事実は非常に重い。先日とある講義で実験的に行われた「人間のコピーライターが制作したコピーとAIが生成したコピーのいずれが刺さるか」という企画。どちらがAIでどちらが人間か?という問いではなく、どちらがより刺さる言葉と思うかと問うもの。質問の際にどちらの作品がAI生成か人間かは伝えなかったところ、結果としてAI生成の方がより刺さる答えた人が多くなった——AIは、人間の能力を増幅するツールであることに変わりはない。人間は不完全で困った生き物。いやらしさと崇高なものが入り混じり、矛盾している部分があるからこそ面白い。最終的によい結果が出せるなら、広告は何でもアリの世界といえる。
「『増幅される種』を作ること——宣伝会議サミットが問うた本質」
今日の学びは、宣伝会議サミットでの「増幅される種」というコンセプトから。
昨日の宣伝会議サミットのテーマ「BRAND × AMPLIFY」は、今のクリエイティブの核心を突いているといえます。「ブランドは伝える時代から、社会の中で”増幅”されながら価値を形成していくものへと変化している」——この一文は、広告の設計思想の根本的な転換を宣言しているようだ。「届く言葉を書く」ことは引き続き必要だが、それだけでは足りなくなった。「広がる言葉を書く」——つまり、読んだ人が誰かに話したくなる、シェアしたくなる、引用したくなる言葉の設計が求められる時代へと変遷しました。その「増幅の種」になる言葉に共通しているのは何か。嵐の東京ドームCMの「17時59分30秒」も、デニーズの「そんなに頑張らなくても」も——極めて具体的であることです。抽象的な言葉はたとえ届いたとしても拡張性をもたず拡がらない。一方、具体的な言葉は届いた瞬間に「これ、あの人に教えたい」「たしかに言われてみるとそうだ」という衝動と納得を生み出す。「増幅される種」とは、具体性の中に潜む、誰かの感情を代弁した言葉のことではないではないでしょうか。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史