
おはようございます。10月13日(火)3連休明けの火曜日です。
デザイン事務所ページワンスタジオです。
今朝の東京株式市場で日経平均株価が一時1500円超下落しました。米国の半導体株安が波及した形で、連休明け早々の波乱のスタートとなっています。ノーベル経済学賞は12日にアメリカの2人の研究者に決まりました。今日から国会では衆議院予算委員会が始まり、消費税減税・経済政策など論戦が本格化します。
国際面では、NTTが大阪府南部の湾岸地帯にアンソロピック向けの国内最大級データセンターを建設する方向で最終調整に入ったと報じられました。建設費は最大1兆円規模。大阪がAIインフラの拠点になるという話で、地元としては注目したいニュースです。また、IMF・世銀総会が35年ぶりにバンコクで開幕し、AI活用も議論されています。トランプ大統領のアジア訪問では「北朝鮮キム総書記と会うかもしれない」という発言も飛び出しました。
「株安・国会論戦・大阪AI拠点・北朝鮮」という慌ただしい連休明けです。では本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。
① OpenAI「生活者の小さな前進」を主役にした日本初ブランドキャンペーン
2026年、OpenAIが日本で初となる本格的なブランドキャンペーンを開始しました。AI技術の新しさや機能ではなく、新生活の滑り出しや新商品の開発、好きな仕事に集中する時間など「生活者の小さな前進」を主役に据えた内容です。
主観:「AIができること」ではなく「AIがいる日常の豊かさ」を語る設計です。機能訴求から感情訴求への転換は、あらゆるテクノロジーブランドが向き合う課題です。「インサイト」を起点にした広告設計の好例といえます。
② フコク生命「わたしの優しい距離感」——池田エライザ×RADWIMPSの新ブランドCM
富国生命保険が池田エライザを起用した新ブランドCM「わたしの優しい距離感篇」を9月17日から全国で放映しています。RADWIMPSの楽曲「正解」にのせて、返信を打っては消す日常の一場面を描いています。
主観:「返信を打っては、消す」という情景の切り取り方が秀逸です。保険という遠い存在を、日常のコミュニケーションの機微に接続する翻訳力がここにあります。「生活者の小さな感情」を起点にするコピー発想として学べます。
③ ブレンディ「この1本で、ブレないおいしさ」——榮倉奈々が1日3度エール
味の素AGFが榮倉奈々を起用した「ブレンディ」スティックブラックの新テレビCM「この1本で、ブレないおいしさ」篇を10月1日から全国で放映しています。
主観:「ブレない」という言葉がコーヒーの味と日常の支えという二つの意味を同時に持っています。ダブルミーニングのコピーとして、シンプルで覚えやすい設計です。
④ ジャンカラ「シャウエッセン減量パロディ」——1日で方針転換の顛末
カラオケチェーン「ジャンカラ」が日本ハム「シャウエッセン」の減量広告を思わせるパロディ投稿で話題を集めたものの、わずか1日で方針を転換しました。
主観:「パロディ広告」は話題化の手法として有効ですが、元のブランドへの敬意と許諾の問題が常に隣り合わせです。「炎上リスク」と「話題性」の判断をどう設計するか——承認プロセスと発信速度の両立が問われた事例です。
⑤ 串カツ田中「創業以来初のリブランディング」——「筆文字」ロゴからの脱却が示すもの
ユニシアホールディングスが運営する「串カツ田中」が創業以来初のリブランディングを発表しました。内装や店頭デザインも徐々に刷新予定で、女性を中心とした来店客層の拡充を目指しています。
主観:「筆文字ロゴからの脱却」は単なるデザイン変更ではなく、ターゲット層の再定義という経営判断の表出だといえます。リブランディングにおいて「何を変えるか」と同時に「なぜ変えるのか」を社内外に語れるかが、成否を分けます。
①電通グループ4社「AIJES」——AI時代の新しい購買行動モデルを提唱
電通グループ4社がAI時代の購買行動モデル「AIJES(アイジェス)」を提唱しました。従来のAIDMAやAISASに続く、AIエージェントが介在する購買行動の新フレームワークとして注目されています。
主観:AIDMAからAISAS、そして今度はAIJES。購買行動モデルが更新されるたびに、コミュニケーション設計の起点が変わります。「AIに選ばれるブランドになる」という視点は、クリエイティブにとっても他人事ではありません。
② 朝日新聞「AIO/GEOタイアップ」——生成AIに自社ブランドを引用される新広告メニュー
朝日新聞社が生成AIに自社ブランドを引用される新広告メニュー「AIO/GEOタイアップ」の提供を開始しました。
主観:「AIに引用される」ことを広告として売る時代が来ました。6月にこの朝刊で話していた「AEO(AI検索最適化)」が、実際の広告商品として登場しています。メディアがAI時代の新しいビジネスモデルを作り始めた瞬間です。
③ 「インサイト」の正体を改めて考える——宣伝会議10月号の問い
宣伝会議が「いま改めて考える『インサイト』の正体」を特集しています。マーケティングの基本概念を問い直す論点として、業界で議論が活発化しています。
主観:「インサイト」という言葉は使い古されていますが、「生活者がまだ言語化できていない感情や欲求」という本質は変わりません。AIが大量のデータから平準化されたパターンを見つける時代だからこそ、人間のコピーライターが「なぜそう感じるのか」という深層を語れるかがコミュニケーション品質の差別化につながります。
④ 「ChatGPT広告」基礎編・対策編——マーケジンが2本立てで解説
マーケジンが「ついに始まったChatGPT広告【基礎編】」と「【対策編】」を2本立てで公開しました。キーワードから「会話文脈」へという広告の差別化要因の変化と、「親密なデータ」に対する新たなマナーについて解説しています。
主観:「親密なデータに対する新たなマナー」という表現が秀逸です。6月にこの朝刊で話した「介入点の倫理」がいよいよ実務の言葉として降りてきました。言葉で人を動かす職業であるコピーライターには、この「マナーの設計」を求められる日はそう遠くないでしょう。
⑤ 日本企業M&A、1〜9月は過去最多——外資による買収額もすでに前年超え
日本企業のM&Aが2026年1〜9月で過去最多を記録しました。外資による買収額もすでに前年を超えています。
主観:M&A件数が増えるということは、合併・統合後のインターナルコミュニケーションでの課題も増えるということです。数字や組織図を合わせるだけでは統合は完成しません。中で働く人たちがそれぞれ、半ば強制的に慣れ親しんだ環境を捨て新しい環境で働かざるを得なくなります。「新しい私たちとは何者か。何を成し遂げるのか。」を言語化し、社員一人ひとりに届けるコミュニケーション設計こそが、M&A後の企業に最も必要とされるでしょう。
① リブランディングを成功に導くクリエイターの提案——ブレーン特集の核心
ブレーンが「リブランディングを成功に導くクリエイターの提案の裏側」を特集しています。経営者らとの対話から潜在的な課題を掘り起こし、社内外を動かすロジックとストーリーをどのように組み上げたかを取材しています。
主観:「提案の裏側」という切り口が重要です。クリエイターの仕事は「良いものを作る」だけではなく、「経営者を動かすロジックとストーリーを組み上げる」ことでもあります。これはコピーライターの仕事の定義を広げる視点です。
② 「縦型動画」が定着した2020年代の映像表現——ブランド動画を大検証
同じくブレーンが「ブランド動画を大検証・縦型が定着した2020年代の映像表現」を特集しています。縦型フォーマットがブランドコミュニケーションの主軸として定着した現在の映像表現を検証しています。
主観:縦型動画の定着は、コピーとビジュアルの「重心」を変えました。横長の画面では左から右へ視線が流れますが、縦長では上から下へ。言葉を置く位置、見せるタイミング、全てが変わります。フォーマットの変化を理解することがCDの基本になっています。
③ NTT×アンソロピック、大阪に国内最大級データセンター——大阪がAI拠点へ
NTTが大阪府南部の湾岸地帯にアンソロピック向けの国内最大級データセンターを建設する方向で最終調整に入りました。建設費は最大1兆円規模で、AIインフラの日本初拠点となります。
主観:「外骨格と内側」の話をこの朝刊で何度かしてきましたが、大阪がAIインフラの「内側」の拠点になろうとしています。ハードとしての大阪ではなく、知的インフラとしての大阪——そこにクリエイティブ産業が根を張るチャンスが生まれています。
④ ミドルファネルの本質——「知っているのに選ばれない」を超える指名検索戦略
マーケジンが「指名検索CV数215%に増加、『知っているのに選ばれない』を超えるミドルファネルの本質」を特集しています。
主観:「知っているのに選ばれない」——これはブランドの最も切実な課題です。認知はあるのに購買につながらない。その溝を埋めるのが、まさにコピーライターとCDの仕事です。「想起されること」と「選ばれること」の間にある言葉を設計することが、今最も問われています。
「AIに選ばれるブランド」——コピーライターの次の仕事
本日の朝刊で最も注目したいのは、二つのニュースの重なりです。
一つは、電通グループが提唱した新しい購買行動モデル「AIJES」。もう一つは、朝日新聞が始めた「生成AIに自社ブランドを引用される」という新広告メニューです。
この二つは同じことを言っています。AIが購買の意思決定に介在する時代に、ブランドは「人間に選ばれる」だけでなく「AIに選ばれる」必要が出てきました。
では、AIはどうブランドを選ぶのか。信頼性の高い一次情報が豊富であること。明快なコンセプトと一貫した言語化がされていること。生活者の文脈に沿った語られ方をしていること。
これらは全て、コピーライターが長年やってきた仕事の言い換えです。ブランドの言葉を磨き、文脈を設計し、生活者の感情に届く語り口を作る——その積み重ねが、AIに引用されるブランドを作ります。
「AIに選ばれる」時代のコピーライターの仕事は、なくなるのではなく、より上流に移動しています。
以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。
弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。
2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史