The PageOne Times

# The PageOne Times 6/26 朝刊

6月26日(金)おはようございます。ページワンスタジオです。
本日も、クリエイティブ業界の動向をざっとみていきましょう。

#今日の世の中の空気

まず国際面では、日本時間25日の朝に発生したベネズエラの地震は、政府が国家非常事態を宣言するほどに被害が甚大であるようだ。わずか1分以内にマグニチュード7クラスの地震が2回発生したため、首都カラカスなどでは多数の建物が倒壊。空港閉鎖、鉄道停止、大規模停電・通信障害といったインフラへの被害が甚大だとの赤十字やCNNほかからの報道。すでに国際的な救援の枠組みが動き出しているとのこと。日本の救助救援活動にも注目だ。
一方で嬉しいニュースも上がってきた。開催中のW杯では日本がスウェーデンと1対1で引き分け、1勝2引き分けで勝ち点5を獲得。グループF2位で決勝トーナメント進出が決まった。引き分けという結果に「勝ってほしかった」という声もあるが、決勝トーナメント進出という目標は達成した。列島は今朝、安堵と興奮が混ざり合った特別な空気に包まれている。
そして今週、世界最大の広告コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ2026」がフランス・カンヌで開幕した。「W杯・カンヌライオンズ・週末」という、クリエイティブ業界にとって特別な金曜日となる。

では、世の中のことをざっとおさらいしたところで、クリエイティブ業界ではどういう動きがあったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

#広告・CM・宣伝・デザイン

① カンヌライオンズ2026開催中——「AIクラフト」という新サブカテゴリーが初登場
カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルが6月22日〜26日まで開催されている。今年は全31部門で2万を超える広告キャンペーンが賞を競う。AIをめぐる話題として「AIクラフト」という新サブカテゴリーが「デザイン」「デジタルクラフト」「フィルムクラフト」など5部門に新設され、今年初めての受賞者が誕生する。
主観:「AIクラフト」という言葉の誕生が意味深い。AIで作ったことが「技術」として評価される部門を世界最大の広告祭が公式に設けた。昨日話していた「AIコピーが宣伝会議賞の最終候補に」という話と根っこが繋がる。AIは「道具」から「審査対象」に変わりつつある。

② マーケティングWeek夏展・本日最終日——「AIゾーン」初設置が示す業界の今
マーケティングWeek夏展が本日最終日を迎える。公式サイトでは初日の様子を映像で公開したり、参加者による個別のレポートなども徐々にネット上にアップされはじめている。今年初めて設置された「AIゾーン」には多くの来場者が集まっているようで、AI活用サービスの展示が業界の最大関心事であることを示した。
主観:「AIを使っているか」の時代から「AIをどう使うか」の知見競争へ——この3日間でその移行度合いが可視化される。AIの進歩は速く、11月の大阪展では何が語られるか。今日の東京の結果が約半年後の大阪の先行指標になる。

③ カンヌ「AIクラフト」賞——クリエイティブの「技術」がAIに開かれた瞬間
カンヌライオンズ2026でAIを活用したクリエイティブを評価する「AIクラフト」サブカテゴリーが初導入。デザイン・映像・データの各部門でAI活用作品が初めて公式に競い合う。
主観:「AIで作った」ことが減点ではなく加点になる部門の誕生。ただし「AIクラフト」という命名は「AIを使った技術」を問う設計で、「AIが作ったか人間が作ったか」ではなく「AIどう使ったか」が評価軸になるとのことだ。使い方の品質が問われる時代が公式に始まった。

④ 「人間が「これは心地いい」と感じるデザイン」——形式と機能の両立
形式(見た目)と機能(体験)の両面で、人間が「これは心地いい」「これは分かりやすい」と感じるデザインを追求することが、AI時代においても変わらない価値を持つと指摘されている。
主観:柳宗悦らが提唱した民藝運動の「用即美」はまさにこのことであろう。AIがデザインを生成できるといっても「心地よさ」という感覚の判断は人間にしかできない。「正しいデザイン」より「心地いいデザイン」——AIが生み出す機能や文脈を無視した「表面的な形式美」の価値は今後暴落する一方、「人間の生活にちょうどいい健やかな美しさ」を救い出すクリエイティブへの希求がこれからの鍵を握る。

#広報・PR・マーケティング

① カンヌライオンズ「事業会社が主役に」——広告代理店からクライアントへの権力移動
カンヌライオンズでは事業会社が主役になりつつあると指摘されている。企業のパーパスに基づいたブランディングの重要性が高まり、クリエイティビティを高める取り組みが企業側から主導されるようになってきた。
主観:広告代理店がクリエイティブを主導する時代から、クライアント企業がクリエイティブを内製・主導する時代へ。デザイン制作会社として「外部パートナー」としての価値をどう定義するかが問われる構造変化だ。

② LinkedInの「Off-Platform Event Ads」——BtoB広告の新しい接点
B2Bマーケティング向けの新しい広告フォーマットとして注目を集めている。プラットフォーム内(オンプラットフォーム)に専用のイベントページをわざわざ作成することなく、外部のウェビナーツール、自社のランディングページ、独自のライブ配信サイトなどで開催されるイベントを、タイムライン(フィード)上で直接プロモートできる仕組みで、カンヌライオンズ2026でも議論された「AI発見時代(AI Discovery Era)における自社データ・自社チャネル(ファーストパーティ)への誘導強化」や「確度の高いビジネスリード(見込み顧客)の獲得」というCMOたちの課題に直結する、実用的なアドテクノロジーとして注目されている。
主観:BtoB企業にとって「ウェビナー×LinkedIn広告」という組み合わせが使いやすくなった。製造業・医療・BtoB企業のクライアントへの提案に直接使える知見として頭に入れておきたい。

#販促・EC・ブランディング

① 「企業がメディアを買収する」——信頼済みオーディエンスへの直接アクセスが高騰
HubSpotがThe Hustle(ニュースレター)を、SemrushがBacklinkoを買収するなど、信頼関係が構築済みのオーディエンスに直接アクセスできるメディアの価値が高騰している。
主観:「読者との信頼関係」がメディアの最大の資産として企業に買われる時代。The PageOne Timesが積み上げているのはまさにその「信頼の資産」だ。規模より信頼の深さが価値を決める時代に入っている。

② TikTok「起動直後からブランドストーリーを伝える」新広告枠——大型ローンチに最適
TikTok起動直後からブランドストーリーを段階的に伝えられるプレミアム広告枠が登場。前編・後編の2本のクリエイティブでブランド認知効果が高く、大型ローンチやキャンペーン前に最適とされる。
主観:「ストーリーを段階的に伝える」という設計は、映画の予告編とトレーラーの構造と同じだ。「一発で全部言う」より「続きが気になる」設計の方が記憶に残る。コピーの「分割戦略」として学べる。

#今日の編集部ピックアップ

「人間中心メディア」の時代——The PageOne Timesを続けるワケ

今週最も直接的に響いたのは、「個人が運営するブログ、YouTube、ニュースレターなどの『人間中心メディア』が、企業にとって最も価値の高い広告媒体になりつつある」という指摘だ。

大手メディアやプラットフォームへの広告出稿より、「すでに信頼されている個人メディア」への接触の方が効果的——これは広告主側の話だが、裏を返せば「信頼されている個人メディアを持つこと自体が、最も誠実なマーケティングになる」という話でもある。

The PageOne Timesを始めて約一ヶ月が経つ。毎朝、一人で書いて、誰に褒められるわけでもなく続けている。派手さはない。でも続けることにしか生まれないものがある。読者との小さな信頼の積み重ねがそれだ。

カンヌライオンズで「事業会社が主役」と言われるように、クリエイティブを発信する主体は代理店から個人・事業会社へと移っている。規模ではなく、信頼の深さが価値を決める時代に入った。

だから続ける。

以上、本日の朝刊でした。
それでは本日も1日、ページワンスタジオをどうぞよろしくお願い致します。

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。

昨年も弊社の広告制作物が、2025年日本産業広告賞雑誌部門にて第3席の評価をいただきました。

弊社は本年も引き続き、デザイン・クリエイティブの力で、お客様のビジネスをしっかりと支援してまいります。

2026年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

2026年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史