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# 海外市場で成果を出すための製品パンフレット多言語化:3つのポイント

近年、企業の海外展開は、もはや選択肢ではなく事業成長のための必須戦略となりつつあります。特に、グローバルなサプライチェーンやアメリカとの関税問題など、外部環境の変化は、日本の製造業に新たな活路を海外に求める動きを加速させています。

その際、自社製品パンフレットは技術的な詳細や専門用語を盛り込める貴重なマーケティングツールであり、海外営業の「顔」として重要な役割を担います。しかし、多くの場合、日本語版をそのまま翻訳するだけで対処していませんか。実はそのまま翻訳しただけの製品パンフレットでは、期待する成果は得られません。その日本語版パンフレットは日本でのみ役に立ちます。なぜでしょうか。文化や商習慣が異なる海外市場では、相手に響くパンフレットの「形」が全く異なるからです。

本記事では、海外市場で効果を発揮するパンフレットを制作するための3つの視点を解説します。

視点❶:文化の違いを理解する

海外に拠点を置く取引先は、日本とは異なる価値観や文化の中で意思決定をします。この違いを理解することが、多言語化の第一歩です。

【日本】

  • 重視する価値:職人技、ものづくりへのこだわり、歴史、信頼関係。
  • 表現方法:丁寧な言葉遣い、情緒的な表現、企業の歴史や理念。
  • 例:「長年の経験が磨き上げた、匠の技がここにあります。」

【欧米】

  • 重視する価値:論理、合理性、客観的事実、課題解決。
  • 表現方法:簡潔で直接的な言葉、具体的な数値やデータ。
  • 例:「当社のソリューションで、生産性を〇〇%向上させます。」

このように、同じ「製品の良さ」を伝えるにしても、訴求ポイントや表現は大きく異なります。

視点❷:顧客の「課題解決」を主軸に置く

BtoBの購買担当者は、感情ではなく、自社の課題を解決できるか否かを基準に、製品を選びます。そのため、パンフレットは単なる製品カタログではなく、「顧客の課題を解決するための、論理的で信頼性の高いソリューション提案書」でなければなりません。
NGな構成製品の仕様・スペックを羅列するだけ。
OKな構成顧客が抱える課題(例:コスト削減、生産性向上、安全性確保など)を冒頭で提示し、その解決策として自社製品を紹介する。
さらに、客観的な事実に基づいた情報を盛り込むことも不可欠です。
導入実績「〇〇国の主要企業で採用されています。」
数値データ「年間で〇〇ドルのコスト削減に貢献します。」
認証・受賞歴「〇〇(第三者機関)の認証を取得しています。」
などです。これらは信頼性を高めると同時に、相手の意思決定を後押しします。

視点❸:プロフェッショナルなデザインで信頼を築く

そもそもデザインは自社の第一印象を決定づけるもので、単に好き嫌いで良し悪しを判断するものではありません。取引先相手の文化背景に合わせたデザインは、相手に「自社のビジネスを理解している」という安心感を与えます。
米国・欧州シンプルでクリーン、余白を活かした機能的なデザインが好まれます。派手な色使いや過剰な装飾は避け、一目で情報が伝わるレイアウトが重要です。
写真製品のスペック写真だけでなく、製品が実際に稼働している様子や、それを使う人々がうつる写真を掲載することも、リアリティと信頼性を増します。

まとめ:単なる「翻訳」をやめて「新たに制作」へ

製品パンフレットを多言語化する際は、単に日本語をその国の言葉に置き換えるだけでは不十分です。相手の文化、ビジネス慣習、そしてニーズに合わせて、デザインやコピーワーク、写真など内容を新たに制作することが大切です。
コンテンツ製品の強みではなく、顧客の課題解決に焦点を当てる。
表現・情報情緒的な表現を避け、論理的、客観的なデータで証明する。
デザインシンプルで機能的なレイアウトと、信頼感を伝える写真を使用する。

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。

本年も引き続きお客様のビジネスを一段と加速できるよう、デザイン・クリエイティブの力でしっかりと支援してまいりますので、2025年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年 元旦
株式会社ページワンスタジオ
代表取締役 青木 唯史